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働くヒント BOOK LIST

働くってことを一度立ち止まって考える…そんなときに読みたい本。

転職2.0

転職2.0


村上 臣
SBクリエイティブ
1,760円税込

 これまでの日本人の、キャリアや転職の常識をOSに例えるならば「転職1.0」。このOSを「転職2.0」にアップデートして、「望み通りのキャリア」を手に入れる。『転職2.0』は、転職を「自分の市場価値を高める手段」ととらえ、ポジティブに考えることの大切さを強調した本です。

転職2.0とは
転職 1.0 転職 2.0
目的 1回の転職の成功
(転職=目的)
自己の市場価値最大化
(転職=手段)
行動 情報収集 タグ付けと発信
考え方 スキル思考 ポジション思考
価値基準 会社で仕事を選ぶ シナジーで仕事を選ぶ
人間関係 人脈づくり
(狭く深く)
ネットワークづくり
(広くゆるく)
※『転職2.0』(帯より)

 著者は、LinkedIn(リンクトイン)日本代表の村上 臣氏。リンクトインでは、社員が離職することを「辞める」「転職する」とは呼ばず、「ネクストプレイを選択した」と表現し、皆でお祝いをするそうです。そして、会社に新しいポストができたとき等には、会社から退職した人に声をかけ、再度一緒に働くことが日常的にあるとのこと。

 氏の提案する、自分の価値を高める手段を知ることは、転職を考えていない方にとっても、これから先「自由に働く」選択をする手助けになるのではないでしょうか。今回は、この本より「タグ付けと発信」「ネットワークづくり」についてご紹介します。


「タグ付け」で自分の希少価値を高める

 『転職2.0』では、自分の希少価値を高める方法として、自分に「タグ付け」をし、発信することを重視しています。

ツイッターやインスタグラムの投稿にハッシュタグがつくことで、あるカテゴリーの情報が横串で検索できるようになります。それと同様に、個人にタグが付けば、自分以外の人から認知してもらいやすくなります。

※「「タグ付け」で自分の希少価値を高める」(P40より)

 タグは、大きく5つに分類できます。

  1. ポジションに紐づくタグ
  2. スキルに紐づくタグ
  3. 業種に紐づくタグ
  4. 経験に紐づくタグ
  5. コンピテンシーに紐づくタグ
※「タグ分類表」(P294-295より)

 ここでいう「ポジション」は、役割のことです。「コンピテンシー」とは、高いパフォーマンス・成果を発揮する「行動特性」のこと。「共感力」が高い、「ルールを順守」できる、「タフ」である…そのような性質も、「タグ分類表」によると「コンピテンシー」に紐づくタグとなります。

 こうして自分と向かい合うと、これまで意識していなかった性質や経験が、自分を表すタグである可能性があることに気がつきます。自分にタグを付けてみると新たな発見があるかもしれません。

広くてゆるいつながり「ネットワーク」をつくる

 狭くて深い人間関係「人脈」に対し、この本では、広くゆるい(弱い)つながりを「ネットワーク」と表現しています。同じ業界で名前だけは知っている、メッセージのやりとりだけしているような関係も、この「ネットワーク」にあたります。

人脈という狭い人間関係で考えると、キーパーソンが存在している確率は低いと言えます。一方、弱いつながりであるネットワークの中には、キーパーソンが含まれている確率は高くなります。

 キーパーソンとつながっていれば、業界を超えてプロジェクトを立ち上げたり、転職したりするチャンスも増えます。

※「広くゆるいつながりをつくる」(P62-63より)

 自分につけた「タグ」を、まずは身近なコミュニティやSNS等で発信し、ゆるいつながりを通して認知してもらう。ゼロから人脈を作るのは困難ですが、この方法ならチャレンジできる方が多いのではないでしょうか。

 この『転職2.0』は、オリエンタルラジオの中田敦彦氏が「中田敦彦のYouTube大学」でテーマにしたことでも話題となりました。キャリアの常識がアップデートされて、転職活動がポジティブなイメージになる時代が近づきつつあるのを感じます。

 「転職2.0」を通して、みなさんも自分の「タグ」を探したり、「ゆるいつながり」の意味・効果を考えてみませんか?

この本で紹介されているサービス

* 国内最大級のハイクラス転職サイト「BIZREACH ビズリーチ」
* ビジネスSNS「Wantedly」
* 世界最大のビジネスSNS「LinkedIn リンクトイン」
* 就職・転職口コミ「OpenWork オープンワーク」
* 企業の口コミ・評判・求人が豊富な転職サイト「転職会議」
* 会社口コミ・評判プラットフォーム「en ライトハウス」

[著者紹介]

村上 臣(むらかみ しん)

LinkedIn(リンクトイン)日本代表
青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に現・ヤフーCEO 川邊健太郎らとともに有限会社電脳隊を設立。日本のインターネット普及に貢献する。
2000 年にその後統合したピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴いヤフーに入社。2011 年に一度ヤフーを退職。
その後、孫正義が後継者育成のために始めた「ソフトバンクアカデミア」で、ヤフーの経営体制の問題点を指摘したことを機に、当時社長の宮坂学など新しい経営陣に口説かれ、2012 年にヤフーへ出戻る。弱冠36 歳でヤフーの執行役員兼CMO に就任。600 人の部下を率い、「爆速経営」に寄与した。
2017 年11 月、米国・人材系ビジネスの最前線企業・LinkedIn(リンクトイン)の日本代表に就任。欧米型の雇用に近づきつつあるこれからの日本において、ビジネスパーソンが生き抜くための「最先端のキャリア・働き方の情報」を日本に届けることを個人のミッションとする。
国内外の雇用事情に精通した「キャリアのプロ」として、NewsPicks アカデミア講師を務めるなどメディアにも多数登場し、転職や働き方について発信している。
複数のスタートアップ企業で戦略・技術顧問も務める。

※ SBクリエイティブ 転職2.0より


(ライター : 折笠静香)

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